古い時計の針が正午を過ぎる頃風は街をはなれ 紅い花の影が零れ落ちた通りを二人は歩いていた 浮かぶ陽炎いつか見た夢のように夏がきみとぼくを留めた 恋の予感のする季節きみと出逢った 二人だけに通じるテレパシーのような 甘く色づいた風がこの路地を抜けると 青鈍色の街の空も夏を奏でる 氷珈琲の中へ会話が落ちていく混ざるミルクの色 グラスの向こうでにじんだ恋人古いフィルムのようね 日傘の下にきみを残してぼくは行くんだ遠いあの街まで 恋の予感のする季節きみと出逢った 二人だけに通じるテレパシーのような 甘く色づいた風がこの路地を抜けると 三十六度のぼくの体温 真夏のようなあつさできみに触れた