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かぐや姫のおかげで不死になった富士山
富士山の最後の噴火が記録されたのは18世紀の最初。その後300年ほど噴火は起きていないが、実は富士山は休火山ではなく、りっぱな活火山。いつ噴火が起きてもおかしくない。理想的な優美な山のスタイルを持つ富士山。噴煙が立ち上がった富士山の姿なんて、いまの我々にはちょっと想像できない。
『竹取物語』の最後で、月へ帰ったかぐや姫が残した不老不死の薬と手紙は、かぐや姫がいなくなって嘆き悲しんだ帝の命令によって富士の頂上で燃やされた。不老不死の薬を燃してしまうなんて、かぐや姫を失った嘆きで、帝も錯乱していたのかもしれない。その当時、富士山は立派な活火山として、天上に一番近い場所から噴煙をもくもく上げていた。その噴煙の立ち上る頂きに不老不死の薬が燃されたために、それ以降その山は不死の山として、富士山と呼ばれるようになったという。
かぐや姫のおかげで、不死になった富士山はいまも静かに活動中。いつ爆発するかもしれないエネルギーを胎内に蓄えた富士には、常に神聖なイメージが重ね合わされる。
一方西洋では、volcano 火山は、襲いかかる自然の力、脅威のイメージ。すべてのものに神が宿るのがあたりまえな日本人の宗教観と自然観とはまったく正反対なところが面白い。
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