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永遠の定番ヘルベチカ
グーテンベルグの活版印刷が始まるよりも前、手作業で写本をしていた頃から、アルファベットのフォントはデザインされていた。現在は数千種類ものフォントが存在しているといわれている。コンピュータのフォントでは、市販されているだけでも実に1000書体以上。時代とともにフォントのはやりすたりもあるが、時代に淘汰されて生き残った基本フォントもある。
この『ヘルベチカ』というフォントもまさにそのひとつ。MやHなどの字の縦棒についているヒゲ飾りをセリフ serif というが、そのセリフがついていない、縦横が同じ幅の書体を『サンセリフ』系の書体と呼ぶ。『サンセリフ』とは、つまりセリフ飾りがない、という意味。『ヘルベチカ』は、その『サンセリフ』系列の代表書体。アメリカでは、この系列の書体はゴシックと呼ばれている。この呼び方の方が日本ではポピュラーかもしれない。
『ヘルベチカ』は、いわばグラフィックデザインの基本。ファッションでは『永遠の定番』といっても、やはり時代の流行に左右されて古ぼけていくものだが、フォントにはちゃんと『永遠の定番』が存在するのだ。それが『ヘルベチカ』。
昔のデザイン系の学校では、『ヘルベチカ』などの基本フォントのA to Zを手で模写するという地獄の特訓的トレース課題があったが、いまや時代はデジタル。そんな課題は意味を持たなくなってしまったのだろうか。
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