WISE AS AN OWL
賢者

賢いフクロウはイジメられやすい?

 英語では、フクロウには賢者や知恵といったイメージがある。これは、フクロウが知恵の女神アテネの聖なる鳥だったことに由来する。また、夜の闇を見渡せるフクロウの目は、隠されたものや不可視のものまでを見渡せる深い知恵を示しているともいわれている。実際のフクロウが物静かにじっと佇む姿もまた、フクロウにおける知性的なイメージを増幅していったのかもしれない。この英語圏でのフクロウのイメージは、日本にも自然に受け継がれていき、いまでは学習塾や教材のマスコット的にフクロウが使われることも多い。
 
 他の鳥類と異なって、フクロウの目は人間と同じように正面についている。これがまるで人の顔のようにも見え、森の賢者といったイメージも定着したのだろう。実際、フクロウはこの目のおかげで、獲物までの正確な距離感がつかめる。狩猟にも便利にできているのだ。

 ところで、夜行性のフクロウは昼間じっと静かにしている。その昼間を狙って、小鳥たちがフクロウのところへ集まって騒ぎ立てる、モビングという不思議な習性がある。この習性を利用して、フクロウをおとりに小鳥を捉える狩猟が、日本でも西洋でも行われているらしい。アリストテレスは、森の賢者であるフクロウを慕って他の小鳥たちが集まってくるのだといったようだが、昼間を狙って騒ぎ立てるのは、実は小鳥たちがフクロウに夜の仕返しをしにやってくるのではないかという説もある。理由ははっきりしないのだが、なぜか小鳥たちがフクロウに集まって騒ぎ立てるのは確か。孤高のイメージのフクロウも、昼間は小鳥のイジメにあったりして、あんがい苦労しているのかも。