マウスで作業中にドラッグしている最中にクリックが維持されなくなってしまうことってありませんか?
ドラックしているファイルなどが、勝手にボトッと落ちたり・何度クリックしても反応しなくなってしまい、非常にイライラしますよネ。
大概そういうのはマウスのボタンの故障なんですが、そうなると買い替えるくらいしか手だてが無いんですよ。私も、いままでは買い替えてきていたんですが、愛用のELECOM「M-F5UBS」が販売終了になってしまったことと、それに代わるような良品が見つからないので修理することにしました。
<用意するもの>
| 修理するマウス |
修理するマウスと同型のマウス |
半田ごて |
| カッターナイフ |
プラスドライバ・マイナスドライバ
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ハンダ |
以上のようなものがあれば修理が可能です。
上に『修理するのと同型のマウス』と書いてあり、「新しいのあれば、それを使えば良いのでは?」と思う方もいると思うのですが、私の場合は同じマウスを4つ保持していて、それが既に2つ壊れているので…という経緯でこれを書いています。もしこれをお読みになった方で『修理はしたいけど、同じマウスなんてもってないよ』という方は、同じメーカーの、同じ時期に発売されたものでも代用できると思います。合うかどうかは結果次第なのですけどネ。
また、今回は半田ごてを使いますので作業台には新聞紙などを敷いて机などを傷つけないように注意する必要がある上に、新聞紙などを焦がしたりしないようハンダごての台が必要です。灰皿などで代用できないこともありませんが、転倒の危険がありますので注意が必要です。時に缶状の軽いものにのせて使用するのは非常に危険でしょう。
各自の判断でよろしくおねがいします。
【1】
まずはマウスを分解します。裏面にあるネジ(×1)を外すとプラスチックの外装が外れます。ボタン側(上部)のカバーを外すと、座面側に、基盤・コード・ホイルなど殆どの主要部品が残ります。次に、基盤を座面側(下部)のカバーから外します。
基盤にはUSBケーブルが繋がっているのですが、基盤にはカプラーで接続されているので、取り外しが可能です。ただし、カプラーには爪がついていて引き抜くことができないようになっているので、接合部にカッターの刃や、小さなマイナスドライバーを差し入れ、爪のロックを解除しながら外さなければいけません。
まぁ、最悪USBケーブルを外さなくても作業は出来るのですが、邪魔な上に基盤の向きを色々変える際に断線してしまったり、引っ掛けて基盤をいためたりしないようにするための処置ということです。
【2】
今回修理するのは、左写真の赤枠内の部分『左ボタン』のスイッチです。ここはマウスでも最も酷使されやすく、故障しやすい箇所です。
この『左ボタン』スイッチを取り外して、新しいものと交換するのです。
交換するためのスイッチは、別の既に壊れてしまっていたマウスのボタンを移植します。その移植するためのボタンは、左写真の水色枠内のボタン『ホイルボタン』スイッチか『右ボタン』スイッチを使います。普通に使っていれば、この『ホイルボタン』スイッチと『右ボタン』スイッチは、使い切ること無く殆ど無事なはずです。
もし同型のマウスを用意できない場合は、このスイッチを似たようなマウスから持ってくることになります。ただし、取り外す前に『本当に同じスイッチなのか?』を確認してからでないと、壊れたマウスが1コ増えてしまいますので十分に確認してください。
【3】
左の写真は修理箇所の左ボタンスイッチを側面から見た所です。赤い線でくくった箇所が、問題のボタンスイッチです。スイッチと基盤はピッタリくっ付いていて、すき間が無いです。
患部の確認…といった感じでしょうか?
ではスイッチの取り外しにかかります。
まず基盤を裏返して、ハンダ付けされた端子の足が出ているところを見ます。これから外すスイッチがどれなのかをきちんと確認してください。
…で、結果から先にいうと、左写真が外した後の写真になります。
ではハンダつけの箇所をを外す際の手順と、注意点を。
- <半田ごての前処理>
- ハンダ付けされた箇所の「ハンダ」を溶かす前に、半田ごてにハンダをつけておく。
…というのは、ハンダは熱する際に「ヤニ」がついてないと、溶けません。別途、ヤニだけコテにつけておけると良いのですが、普通はヤニだけを持っている方というのは、あまりいらっしゃらないと思います。
なので、新しいハンダを用意して、少量をコテ先に溶かして付けておくと、基盤上のハンダも溶けやすくなるという案配です。
- <基盤上のハンダを熱しすぎない>
- 基盤からスイッチを外すには、基盤と端子を固定してあるハンダを溶かして外すことになるのですが、その際にあまり熱を加えすぎると、コテの熱がスイッチの端子の足を伝ってスイッチ本体にまで達してしまいます。そうなるとスイッチ内部のプラスチック部品が溶け、破損します。
なので、コテを当てる時間と熱は、最小限にしなければなりません。そのためには半田ごてとハンダを「精密部品用」とか「IC部品用」と書かれたものを使用すると良いと思います。100円ショップでも売ってます(200〜300円しますが:笑)。このタイプのコテとハンダは、低温設定がされているので、比較的スイッチ類を痛めないはずです。
本当であれば溶かしたハンダを吸い取るワイヤーのようなものもあるのですが、そこまで用意するのも何かと無駄なので、今回は気合いでカバーします。
- <溶かしてスイッチを外す>
- コテ先に溶かした少量のハンダをのせた状態で、端子の足の周りにもられた山状のハンダを溶かします。溶けたハンダを出来る限りコテ先に移すのですが、そんなに上手く行かないんですよネ。少しは取れても半分以上は残っちゃうんです。
どうすればいいかというと、スイッチと基盤の間に小さなマイナスドライバを差し込んでおきます。2枚上の基盤の側面から取った写真の位置から見ると判るのですが、実際はコンマ何ミリかのすき間があるので、そこにマイナスドライバをそっと差し込んでおくんです。
その状態から基盤裏のハンダを溶かしてやり、マイナスドライバにテコの力を加えるとスイッチが若干浮きます。固定箇所は3カ所あるので、一気に力をかけると基盤やスイッチを痛めるので、1カ所緩めたら次の箇所へ移り、3カ所を徐々に緩めていくと、そのうち外れると思います。
ハンダを溶かす際には端子の周りの山状のハンダを溶かすだけではなく、端子と基盤の穴のすき間のハンダを溶かすため、基盤の穴へコテ先の尖った部分を差し込んで溶かすのも有効です。
- <注意点>
- まずは熱しすぎないこと。これは上述の通りです。
他に、溶かしたハンダで他の端子とを繋げてしまわないようにすること。回路の流れが変わってしまいます。
スイッチの端子は真っすぐではない(Ω状に少し曲がっている)ので、ハンダを綺麗に取り払ったとしてもすんなり抜けません。多少『グリグリ』やって引っこ抜く必要があるので、その際に壊さないようにしましょう。
あとは火傷したり、火事を起こしたりしないことでしょうか。
【4】
『移植される側のスイッチ』が取り外されたので、次に『移植する側のスイッチ』を取り外します。こっち側のマウスは今後使用できなくなってしまいますので、注意が必要です。
先ほど作業したマウスとは、別のマウスでの作業になります。間違っても同じマウスから3つのスイッチを外さないように。
また先ほどは捨てるために行ったスイッチ取り外し作業も、今度のこちら側のスイッチは再利用するために取り外す作業ですので、先ほどよりも注意が必要です。
『ホイルボタン』スイッチと『右ボタン』スイッチの2つをはずせば、2回分の交換用スイッチが確保できます。
【5】
左は『移植する側』の取り外されたスイッチと基盤。
結構ここでやってしまいがちなのが、使用不可能のスイッチと再利用するスイッチが混同してしまうこと。
ちゃんと分けておかないと、修理したはずが元の状態に…ということも考えられます(笑)。
スイッチを外された『移植する側(左)』と『移植される側(右)』の基盤。
あとは外した再利用スイッチを、移植する側の『右ボタン』位置へ差し込むだけです。
そう…。本当に差し込むだけ。ハンダ付けもしません。よほど綺麗に作業していない限り、取り外した基盤にも、スイッチの端子の足にも、取り除ききれなかったハンダが残っていると思います。ですから、差し込むだけでもけっこうタイトで、固定できると思います。ハンダなのでもちろん通電しますし。
あまりグラつくような時には再度、基盤の裏からハンダ付けしても良いと思います。私は多分またスイッチが壊れたときに備えてハンダ付けしてません。
あとは、基盤を裏ブタ側のカバーにのせ(この際に光学センサーのプリズムレンズがずれていないかを確認)、USBケーブルを接続。
USBケーブルの内部配線を基盤下に敷設。
ボタン側の上カバーを被せ(マウス前面側の2本の爪をセットするのが少々難しいです)、裏のネジを締めて終了です。
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