|
【1】まずは影無しでの描画の方法から
まずは影のない(ベタ塗りオンリー)状態を描いてしまいます。
基本的には「ペンツール」でガシガシ描いていくだけの力技です。手描きで紙に下絵を書いて、それをパソコンに取り込み、トレス(なぞる)というのが正道な気もしますが、私は直接イラレ上で描いてしまいます。理由は「下絵を描いて満足して飽きる」のを防ぐ(笑)ためと、同じ絵を何度も描きたくない…という手抜きのなせる技なので、参考にはならないかもしれません。
逆に、私が描く程度のイラストならソフトの力がそれを可能にしてくれるという訳で…。
また、以降に描いてある各設定や環境は、Macintosh・イラレ10を前提に描いてあります。OSやイラレのバージョンの違いによって違いがあるので、注意してください。
1.イラレの環境設定を確認
最終的に、描いたイラストを「SWF形式」に書き出して、flaファイルの作成に使用したりWEBで公開したりするので、まず絵の大きさを決めてしまいます。
ここで重要なのはFLASHは単位がpixelということです。イラレにはその単位がないのですが、pointがそれに相当します。イラレの環境設定を開いて単位の「一般」をポイントにしましょう。
また各書類のカラーモードをRGBにするのも忘れずに。
2.描画開始
描き方はその人なりの「決め」があると思いますので、参考程度に。
まず、顔の輪郭を描いてしまいます。ペンツールで、ポチポチとアンカーを置いて、おおまかな形を作ってしまいます。いわばこれが「下絵」です。アンカーを置く場所は、曲線の頂点(出るところと、引っ込むところ)で、可能な限り少ない数で作成するのがポイントです。アンカーの増設は後からでもできますので。
アンカーを置く際に、若干ずつハンドルをひいておくと(角が曲線になるようにする)、多少イメージが掴みやすいと思います。
3.輪郭を整えます
さっきひいたパスを、ダイレクト選択ツールで微調整します。微妙な曲線のRはアンカーからハンドルをひき直して調整します。
納得がいくまでパスをいじります、が他のパーツを描き込んだあとでバランスを調整することになるので、あまり神経質になりすぎなくてもOKです。
4.パーツの追加(1)
前髪・眉毛など全体のバランスの取りやすい部品から先に描いていきます。
今回は黒髪の予定なので、塗りは黒・線は透明(なし)です。輪郭同様、ペンツールで描いていきます。
5.パーツの追加(2)
さらに描き込みます。
眼や口などは描き終わった後にグループ化します。そしてある程度の部品がそろったら、顔の部品のパーツ(眼とか口とか)を矢印ツールでつかんで動かして位置を整えます。
福笑いの要領です。
平たかったり、長かったり、角度が曲がってる部品もバウンティングボックスや各変形ツールを使って修正します。
ピクセル系のドローソフトと異なり、描いた後からでもドンドン変形がかけられるのが、FLASHやイラレのベクター系ソフトの醍醐味ですよね。
6.全身を描く
基本的には、上記の作業の繰り返しで全身を描き進めていきます。
イラレは後から描き足した部品は上に積み重なっていくので、「背面へ」や「前面へ」、もしくは「カット」と「前面へペースト」「背面へペースト」を駆使して並べ直していきます。
FLASHでもそうなのですが、各パーツの重なりを如何に先読みしていくかが、手っ取り早く(手抜き)が出来るかを左右します。
これが、上記のイラストのアートワーク。
パーツ構成的にはこんな感じになっています。
これで、一応ベタ塗り状態までの描画は終了です。 |
 |
【2】次には主線に太さの強弱を付ける
1.準備
イラレのペンツールで描いた線は、太さが一定のままで面白みに欠けるので、アナログ(Gペンとか)で描いた線のような「線の太さの強弱」をつけたいと思います。
ここまでで描いた「塗りまでが終わった段階のイラスト」を更に修正をかけていくのですが、ここから先の作業は後戻りが出来ない部分も多いので、念のためイラストのバックアップを用意します。
作成したイラストを選択し、コマンド+オプション+シフト(Winはコントロ−ル+オルト+シフト)を押してイラストを右へドラッグします。すると水平位置にイラストがコピーされます。これが万が一の時のためのバックアップになります。
あくまでも「万が一」の際のものなので、普段は使わない邪魔なものなので、書類設定のステージの外にでも追い出しておきましょう。もし、この段階まで戻りたい、もしくは部品を使い回したいといったときにのみ使えば良いと思います。
2.線を塗りに変換
まず変換する前の線の太さですが、これはイラストのタッチにもよるのですが、細くて0.5ptからです。これ以上細くても、SWFに変換した際に、差があまり反映されません。アンチエイリアスなどの関係で、それ以下の太さの線は「太さの違い」がうまく表現されません。もちろん拡大表示すれば違いはわかりますが、あまり意味のないことなので、0.5pt以上をお勧めします。
先ほどコピーしておいた「作業用のイラスト」を選択します。そして、メニューからオブジェクト-パス-「パスのアウトライン」を実行します(イラレのバージョンによってメニューの場所は異なります)。
これを行うと、線の部分はすべて塗りに変換されます。この際に注意した方が良いのは、線の「角の形状」をマイター結合(直角)にしておいた方が良いということです。そうでない場合、パスのアンカー部分(パスのカーブの箇所)に余分なアンカーが増えてしまい、ここから先の作業が面倒になってしまいます。
以上の絵でも、「線」状態から「塗り」へと変換しただけでアンカーが増えているのが確認できると思います。増えてしまったアンカーを減らしたり、更に追加したりしながら、作業を進めます。
3.実作業
ここからは力技です。地道にがんばりましょう。
まずツールをペンツールに持ち替えます。
その状態で、キーボードの「コマンド(Winはコントロール)」キーを押すと、矢印カーソルに変えることができます。これは黒い矢印「選択ツール」と、白い矢印「ダイレクト選択ツール」の2通りがあって、それぞれは「コマンド+コントロール+タブ(Winはコントロール+タブ)」で切り替えることができますので、用途によって使い分けます。
基本的には…、コマンドキーを押した、(ダイレクト)選択ツールの状態で太くしたい箇所のパスのさらにその部分のアンカー(点)を動かしてあげることによって、線を太くしてあげます(上記写真の状態)。これの繰り返しです。
上述でも書きましたが、0.5pt以下の線はあまり上手く表示されないので、「基本的」には線を細くすることはないのですが、イラストのタッチによって線がかすれ消えるような部分には、細くする(もしくは太さがなくなるほど細くする)ことによって更にメリハリをつけることができると思います。
4.とりあえず主線に強弱をつける作業を完了させる
主な線に、上記の方法で太さの強弱をつけます。この作業はいつも、2〜3割の線は作業し忘れますので、目立つところを作業するに留め、全体のバランスがある程度見れる状態であれば良いと思います。
縮小されているので判りにくいかもしれませんが、左の絵が線に強弱をつけ終わった状態です。
絵のタッチにもよるのですが、結構大胆に太さを付けてしまった方が良いかもしれません。私の場合、チマチマやっているせいかあまり効果が出ていないみたいです。もっと大胆にやるべきカモ。
とりあえず線の作業はここまでとして、影を付ける作業に進みたいと思います。
|