森の記憶,不明,50

―私の子どもたち。

この一面を灰と雪に覆われた星で、私は一人きりだった。

大地が氷る前、星には二千の人種が存在した。私の種族・エルアーもその一つのはずだったが、人間の同胞として扱われることは稀だった。
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彼らはエルアーを所有し、貶め、時には殺した。彼ら自身の間でも、争いが絶えることはなかった。人間という種族の遺伝的な欠陥が生み出す不幸の数々が、愛や、希望や、あるいは文化の成熟といったものによっていつか解決されると、彼らは永遠に信じていたいようだった。

結局は、冬の到来を知り、周到に準備を進めていた私達だけが ― 私だけが生き残った。

この冬を招いたのは、私だった。
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人類が死滅しておよそ千年の間、船は私のシェルターであり、唯一の話し相手だった。船の名はヴィンド・ハールといった。

私は一日のほとんどを船の植物園で過ごした。小さな森の中で、小さな私の伴侶が成長していた。彼女は二度目の変態を終え、大人の親指ほどの大きさになっていた。

「オーネブ」…私は幼母の名を囁く。

何万年、あるいは何百万年もたち、この大地の傷が癒える時、私達を滅ぼした憎しみとも恐怖とも無縁な場所で、人間の存在しない平穏な世界で、彼女はおまえたちを身籠るだろう。
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私は森の一部となり、彼女の長い孤独を見守ろう。

もし森が私の記憶を伝えてくれるなら、やがておまえたちも知るかもしれない。私の犯した裏切りと罪を、どこまでも続く悲しみと虚無を。

だが、その暗い影に見失うことなく覚えておいておくれ。

―まだ見ぬ愛しい私の子どもたち。

眼を閉じた時浮かんでくるその笑顔は、私の生きる理由の全てだった。

この星に生まれてくるおまえたちの幸せを、心から願っているよ。
